十間川ものがたり


横十間川と北十間川。二つの川を中心に

碁盤の目のような水路を行く。

水に親しむ人々に”水の都・東京”の今がみえてくる

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浮世絵や時代小説などで描かれる、川や堀の水辺の風景などから、江戸・東京が“水の都”だったと聞いても、二十一世紀人の私たちにとって水辺の空間とは馴染が薄い。そんな東京の水辺の今を知りたくて、隅田川の東側、かつての江戸市街地の東の端へ出かけた。

 江東区界隈をタテ(江戸城から見て放射状に伸びる)とヨコ(江戸城から見て横に流れる)に貫く小名木川と横十間川、そして北十間川へ。東西と南北に計画的に張り巡らされた江戸時代の都市計画の名残に沿って進む。

一時は悪臭紛々だった水質も改善が進んだのか、水面にはカヤック、和船が浮かび、舟遊び。ボラの稚魚だろうか、小魚が群れをなし鵜がそれを追う。そして横十間川が北十間川と合流する辺りで、広重が描いた筑波山の代わりに目に飛び込んでくるのは、あの東京スカイツリーだ。

 

水辺を辿れば、過去と現在を通じて変わるものと変わらぬもの、その双方が照り映えていた。この川に集う人々もそれぞれの水辺を楽しんでいる。私も次は船に乗ってみようか。

文:大越忠洋・薈田純一

初出

月刊中央公論 グラビア 他

 

なお、ここに紹介された状況掲載年当時のもので、

現在は実施されていないものもある可能性がございます。